夜の牙 下 【完】

第八章 /落下







「…」



じっと手首を見つめる。



何の傷も無いそこをつ、と指先でなぞれば、何とも言えない気分になった。



お母さん、お父さん。



私、いらなかった?


本当にいらなかった?



ずっと、一緒に暮らして来たのに。


今まであんなに優しく育ててくれたのに。



私が、もしも、私が―――涼香の娘じゃなかったら、もっと愛してくれた?



「…なんで生きてんだろ」



例えば杏樹を守る為とか。



例えば豹の傍にいたいからとか。



それでも、やっぱり家族に愛さなかったどころか嫌われているというのは、とても胸が重くて。





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