夜の牙 下 【完】

Ending







ちょうど午後になったばかりの、淡い日差しが明るく差していた。



ぽかぽかとした陽気で、この時期にしては珍しいな、と欠伸を零しながら考える。



吹く風もどこか、春めていた。



「…ね、まだ怒ってたりする?」



下駄箱で靴を履きかえていれば。



ふと隣に人が立ったのがわかった。



「…そうだね。もう一回くらいは鼻、やってやろうかとか考えてる」



私が言えば、悠理くんは眉を顰めて鼻を押さえた。



綺麗な容姿に澄ました顔の悠理がそんな事をしている光景は、なんだか間抜け。


いい気味だ。



「大体、私には未だに悠理くんの思考がどうしてあそこに至ったのかがわからない」


「わからなくて当然だよ。他人だよ、俺たち?」


「わかりたくもなかったけどね」



私が言えば、悠理くんは引き攣った笑みを浮かべた。



「なんか、前より冷たくなってない?」





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