夜の牙 下 【完】






「だって俺のだし」



最早意味のわからない、というか、恥ずかしくてわかりたくない理由を言う豹は、私に笑みを向けて首を傾いだ。



「ねぇ、藍?」


「い、いやわかんないし」



思わずどもれば、豹はそっと私に擦り寄って、美希さんへ視線をやった。


その流し目が妙に色っぽい。



「藍のぜーんぶ、俺にくれたし」


「ちょ、豹っ。何言って…」



案の定。



「はぁん!?」


「っぶ!」



美希さんはさらに顔を赤くして立ち上がり、ティッシュはどこかへ飛んで行った。


その向こう側で、輝くんは頬を赤くして口元を押さえているのが見えた。



「もういい!!もういいからやめようっ!!」



そう叫んだけれど。



正直、何が「もういい」のか、何を「やめよう」なのか自分でもわからなかった。





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