悪魔様の虜【完結】

普段の私

カタカタカタカタ


ガーガーガーガー


ザワザワザワザワ



パソコンのキーボードを叩く音


コピー機が動く音


多くの人の話し声





たくさんの音が響くこの部屋は大手飲料会社の経理課。




運よく就職できた、私の職場である。


大学卒業とともに勤め始めて、もう三年半になる。




「あ、日向(ひむかい)さん!」


パソコンから視線をはずして、私の名前を呼んだ人へ振り替えると、少しだけ困ったような笑顔を浮かべた男性が小走りに駆け寄ってきていた。



「これ、明日までに纏めておいて欲しいんだ。
朝一の会議で使う予定なんだけど、大丈夫そう?」


「いいですよ。前回みたいにでいいんですよね?」


「ほんと!?助かる!!同じ感じでいいよ。いや~、ほんとにありがとね!今度何か奢るね♪
じゃあここに置いておくから。」


数枚の紙をデスクの空いたところに置いて、来るとき同様小走りで席に戻っていった。



隣の課の二年先輩の山田さんに資料作成を頼まれるのは三回目。

人手が足りなくて、その時たまたま手が空いていたのが私だったから引き受けたのが始まりで。


その資料を気に入ってくれたみたいで、こうして時々頼まれる。

違う部署の仕事は勉強にもなるし、たまに美味しいお菓子とかくれるのもあってなんだかんだで引き受けちゃうんだよね。


あわただしく席に戻る山田さんの背中を見てから、再びパソコンに向き直った






カタカタカタ・・・カタンッ!


キーンコーンカーンコーン♪



エンターキーを押したところでちょうどお昼の鐘がなる。


当番の人を残してガヤガヤと部屋を出ていく人達から少し遅れて、財布を持って私も立ち上がった。



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