4人の狼と囚われの子羊。 【完】

朱を奪う紫 /ランの場合。 2





物心付いた時、おれには母親と呼べる人は居なかった。






正確には、“義理の母親”しか居なかった。



でも、その義理の母親もすぐに死んでしまって…。





ショウちゃん達兄弟は寄り添うように結束を固めていった。





だけど…おれは違ったんだ。





自分が母親に捨てられたのだ、と知ったのは祖母の何気ない一言からだった。



「鳴海(ナルミ)さんもこんな可愛い子置いていくなんて…」






“鳴海”?



誰だ…?






おれは気になってショウちゃんを問いつめた。







父さんに言っても話してもらえない、と思ったからだ。







当時、中学生だったショウちゃんはぐっと唇を噛んで、


「それはおれ達のお母さんの名前だよ」


と言った。










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