4人の狼と囚われの子羊。 【完】

朱を奪う紫 /スミレの場合。 2




「スミレ」



「あ。周治さん」


掛けられた声に振り返ると、周治さんが立っていた。





お母さんのことを蜂谷兄弟達が“お母さん”ではなく“シオンさん”と呼んでくれている様に、あたしとつばきは、周治さんのことを“お父さん”ではなく、 “周治さん”と呼んでいる。





あの食事会の日、周治さんは、


『ショウ達のお母さんは1人だけ。スミレとつばきのお父さんも1人だけ。
だからおれ達のこと、“お父さん”とか“お母さん”とか呼ばなくていいよ』


ってあたし達に言ってくれたのだ。





それに甘えているんだけど…周りから見たらどんな風に思われるんだろう…。







「記念すべきバイトの初日終わった?」



「はい」


そう言ったあたしに、周治さんは微笑んでくれた。









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