4人の狼と囚われの子羊。 【完】

朱を奪う紫 /ランの場合。 1







「え?」



おれは思わず振り返った。





目の前ではバイトの先輩、袴田さんが苦笑いを浮かべている。





「ラン。
“え?”じゃねぇよ。
お前、スミレちゃんと何かあったんだろ?」





「…………」



身に覚えはない。



っていうか、あいつとおれの間に何もあるはずない。







「…何のこと言ってるのか分かりませんけど…」


おれはくるり、と袴田さんに背中を向けると、手を動かす。





オーダーされてるカフェラテを仕上げなきゃいけないのだ。





「“友達の話”つって自分のことだっての隠して相談持ちかけるのなんて女の子がよく使うテじゃん。
…しかも、その相手はどう考えても年上っぽいし…。ラン、お前じゃないのかよ」


袴田さんはぐいっ、とおれの顔を覗き込みながら、そう訊く。






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