不幸体質な彼女は今日も彼と、【完】

08.Mission《不幸体質な彼女は今日も彼と、》











それから律くんは、最後に行きたい場所があると言ってタクシーを呼んだ。


てっきり家に帰るものだと思っていた私は、行き先を知らされることのないまま30分以上車に乗って、律くんの「着いたよ」の合図でようやくここがどこなのか把握した。





「律くん……っ、ここ!」

「うん。俺と、伊都ちゃんが初めて出会った場所」


そこは、今ではもう使われている形跡がない……体育館。

わずかな記憶から蘇る――……バスケのクラブだった。


田舎町の、中でも特に田舎だったこの辺りは、とにかく草と虫が多かった。

今は古びた館内でも最低限の手入れはされているようで、体育館の外にあったお庭には家庭菜園まであるから驚いた。



おもむろに中を覗くと、標準サイズのモノよりも背の低いバスケットゴールが2つ、通常用のものが2つ、各々塗装が剥げていながらも確かに“あのときのモノ”のまま、それらはそこに存在していた。






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