キミとまた、同じ空の下で。

第1話 美しい転校生


高校生になって初めての夏休み、目前のことだった。

ビルもない、カフェもない、スタバもなければマックもない。もちろん、電車も地下鉄も通っていない。
1時間に2本のバスで十分なこの田舎町に、東京から転校生がやってきた。


『…初めまして。皆川ゆり子です』


毎朝の騒がしいホームルームが嘘のように、静まり返る。

彼女、皆川ゆり子は私たち田舎者には少し、いや、かなりの戸惑いと衝撃を与えるほど――美しい転校生だった。

自然な茶色の髪の毛が、少しだけ開いていた窓の隙間から入ってきた小風でサラサラと揺れて、病的にも思えるほど真っ白な頬に何度も触れる。その髪の毛を、邪魔くさそうに右耳にかける仕草に…。


「……っ…」


彼女が同性だということはわかっているのに、なぜかとても、ドキドキした。

女の子相手に抱くべきではないし、抱いたことのない感情に、若干の罪悪感を覚えたけど。右隣を見て、すぐに安堵した。

右隣の席に座るなっちゃんも、口を半開きにして、彼女に釘付けになっていたから。

クラスのみんなともなっちゃんとも、もう10年来の付き合いになるけど、こんな、まるで一目惚れでもしてしまったかのような顔を女の子に向ける姿を見たのは、もちろん初めてのことだ。

何か、新しい自分が目覚めてしまったのかもしれないと、一瞬でも本気で思ったことは絶対誰にも言えない。

これが、彼女――皆川ゆり子と、私、浦部京子の出会いだった。


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