自称、普通の高校生

*宇佐田 健汰 視点*


この1ヶ月で、色々なことが起こった。


それも全部、あの転校生、佐伯さんの周囲で。


しかも、必ずと言っていいほど、そこには大河さん達が鉢合わせているんだ。


偶然っていう可能性も、あるかもしれない。


でも、でもさ?


5回も、そんな偶然があるものなの?


俺にはそんなの、信じられないよ...。


全部全部、あの女の子の手の平の上で踊らされているような、そんな錯覚さえするんだ。


初めて出会った時、佐伯さんを心のどこかで怖いなって感じた。


気のせいだって思おうとしたんだけど、どんどんその思いは膨らんでくるんだ。


中庭で偶然転けそうになった彼女を、すれ違った櫂さんが助けて仲良くなった。


甘い物を食べようと、遥さんが行った店が混んでいたようで、たまたま彼女と相席になり、甘い物の話で盛り上がった。


街中でナンパされて困っていた彼女を、偶然見かけた一真さんが助けた。


誰もやろうとしない学校の庭に咲く花の手入れをよくしていた佑樹さんが、そこでたまたま、花の世話をしている彼女と出会った。


彼女が綺麗だとかいう理由で他の女子にいじめられていた時、偶然そこに通りかかった大河さんが助けた。


普通だったら、疑問なんて湧かないんだろうけど、俺は、何で?どうして?っていう疑問だらけだった。


大河さん達の近くで笑っている彼女を見る度、まるで自分の居場所が彼女に盗られたような気がして...。


でも、こんなのはきっと、醜い嫉妬なんだと思うんだ。


だから、谷っちが心配してくれてるって分かってても、こんなこと話せないよ...。


そうやって、自分の気持ちを押し込めて、表情を取り繕っていたけど、もう、疲れちゃった。


ごめんね。


何かに対して、誰かに対して、そう謝る。


...


そうして僕はその日から、学校を休んだ。


*宇佐田 健汰 視点 end*


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