花くれない【完】

第一章 /白蘭







「元さんに診てもらったけど、ストレスによる発熱みたいだ」





セレナイトでの事後処理を終えた蘭は、深夜までかかったせいか疲れた表情で帰って来た。




おそらく一番気になっているであろう、あの子の容態について報告すると眉間にシワを寄せる。



まぁ、そうだろうな。




あの小さな体で、どれほどのストレスを抱えていたのか。





蘭は、玄武にマークされてる可能性があるとだけしか言わなかったが、他にもあることを知っている。





俺があの子に一度会ったことがあるから。


あの頃よりも成長していて気づきにくかったが、母親譲りのアッシュグレーの髪色は今でも変わらない。






「蘭、あの子のことどうするつもりなんだ」



「んなの、アイツが起きてから決める」



「忠告しとくが、生半可な気持ちで助けても、あの子を傷つけるだけだからな」






あの子の境遇も、苦しめているものの大きさも知っている身としては、蘭がしようとしていることを手放しで応援することは出来ない。





「お前が無理に事を進めても結果は良い方向にはいかねぇからな。だから...」


「──わかってる。アイツから本音を言うまで俺は動かねぇ」





普段はふざけてる蘭の見せる真剣な表情に本気なのだということを悟る。






かわいい弟の本気を俺が止めることはできない。



それでも、あの子が幸せになることを望まずにはいられないから。




あの子が笑顔でいられるよう見守り続ける──













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