束縛~愛と欲望に溺れた兄~【完】

第1章 兄妹 /予知夢~咲良side~

午後6時半を回った頃・・・。

「お兄ちゃん、まだかな」

1人テーブルに乗った夕食をを見つめながら呟く私。
…なんか虚しい。

ガチャリ

静かに玄関のドアの開く音が聞こえた。

その数十秒後、この部屋へと通じる戸が開かれた。

「ただいま」

座っていた椅子から立ち上がり、お兄ちゃんを迎える。

「お帰りなさい!」

朝の事はとりあえず水に流して、明るくお兄ちゃんを迎えた。

そんな私に驚いたのか一瞬お兄ちゃんの表情が固まったような気がする。

だって、朝からあんな態度とってたら誰だって驚くよね。

沈んでいた私を見かねてかお兄ちゃんは
「おいしそうだね」

と、気まずい空気を変えるようにテーブルの上に乗った夕食を見てお兄ちゃんは言った。

「ほんと!?」

これで沈んでいた気持ちが吹き飛ぶなんて私って、現金な女だな。

お兄ちゃんはテーブルに乗ってあるから揚げを一つつまむと、口の中へ運んだ。

「ん、おいしい。けど、どうしたの?今日は豪華だけど」

「えっ、あ・・・まぁね!今日はお兄ちゃんが久しぶりに早く帰ってくるって言ってたからちょっと頑張ってみたんだけど・・・」

お兄ちゃんは嬉しそうに笑った。

でも、私はズキンッと心が痛んだ。

だって、本当は大助くんと付き合えて嬉しくてつい作っちゃったんだもん。

けど、本当の事言っちゃうとお兄ちゃんにばれちゃうし。

当然過保護のお兄ちゃんに大助くんの事を話せば、絶対別れろー!なんて言われかねない。

もう、言わないでおこう。そう硬く誓った。

「咲良・・・?」

1人でうなっていた私を心配そうな眼差しでお兄ちゃんは見つめていた。

「なんでもないよ」

悟られないよう誤魔化した。

それから私達は2人でご飯を食べ、久しぶりにまったりテレビを見たりして楽しく過ごしていた。

その時だった。

「・・・ずっとこのままで居たい・・・」

ふいに私の口から零れ落ちた一言。

お兄ちゃんは優しく微笑み「うん」と言うと私の頭をお兄ちゃんの身体に引き寄せられた。

その暖かい腕に包まれながら私はいつのまにか眠りに落ちていた。

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