束縛~愛と欲望に溺れた兄~【完】

第2章 自分の気持ち /雨と薫~晋介side~

ザァーー…

突然の大雨が降る。

雨の日はあまり好きじゃない。

俺の両親が亡くなった日がちょうど雨だったからだ。雨を見るたびに思い出してしまう。

あの時俺が、大雨の中出掛けるのを止めていれば…と。

俺は無意識の内にデスクの上で手を組んでいた。

そんな俺を見かねた佐々木が口を挟む。

「大丈夫ですか?」
「あ、あぁ」

仕事に私情持ち込むなんて…。

なんで今日に限ってなんだろう。

「今日は来るんですかね?薫さん」
「いつもサボってるのに雨の日だけ来やがって…此処は雨宿りする所じゃない」
「ははは…。別にサボってても情報持ってきてくれるからいいじゃないですか」
「そうだね。情報持ってきてくれるだけでも有難いからな…」

俺はため息をついた。

我が事務所は情報をいち早く知ることが一番重要な鍵になる。

その中で、俺達の情報源になっているある人物がいた。

それが、“小日向薫”。

彼も元々警察庁で勤務しており、佐々木の元上司だったが、この事務所で働くことになった。

だから、今でも佐々木は薫よりも上にも関わらず、敬語で話している。

昔からなのだから、無理もないのだが…。

そして彼は、此処に毎日来る訳ではない。

こうして雨の日しかこの事務所に来ることはない。
大方どこかでサボっているのだろう。

なのに此処に来るたびに情報を持ってくる薫はとても謎めいていた。

ガチャリ

事務所の扉が開く。
入ってきたのは言うまでもなく薫本人。

噂をすれば…か。

「まったく。君はいつになったら毎日此処に来るようになるのかな」

これは紛れもない俺の本音。

「まぁ気が向いたら来ますよ」

気が向いたら?いつになったらお前の気が向くんだ?

少々苛立ちを覚えたが、これ以上面倒ごとになるのはあれなので腹の底に沈めた。

すると、薫が何か思い出したようにポンッと手を叩いた。

「そうそう。先生にご報告がありましてねぇ」

報告…?一体何の報告なんだろう。

「先生の妹さんの事で」
「な、なんだって!?」

俺は勢いよく立ち上がった。

咲良に何があったのか…。いてもたってもいられなかった。

「なんだよ!勿体ぶらずに早く言え!」

取り乱した俺をなだめるように口を開いた。

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