束縛~愛と欲望に溺れた兄~【完】

第3章 選択 /なぜですか?~咲良side~

“私はなぜいじめられなきゃいけないの?”

“それは運命だからだよ”

と、愛ちゃんは言う。

“どうして運命だって言い切れるの?”

“そんなの神様のイタズラに決まってるでしょ”

愛ちゃんはそんなこと言わない。
じゃあ…

“貴女は誰?”

愛ちゃん…そっくりな人は不気味な笑みをこぼした。

そして、私の問いかけには答えてくれなかった。

ジリリリリリッ…カチッ…

鳴っていた目覚まし時計を止めた。

時刻は朝の5時を指している。

まだ、学校までには時間に余裕があった。

早く起きすぎてしまったみたいだ。

今日もまた、昨日みたいに黒板に書かれたりするのだろうか?

思えば思うほど学校という場所が嫌になっていく。

親友だと思っていた幼馴染みの愛ちゃんまで助けてはくれなかった。

助けてくれるどころか、加害者だ。

だけど私は、愛ちゃんが助けてくれなかったんじゃなくて助けられなかったんだと思う。

私がそう信じたいだけなんだけど…。

私は一度リビングへと降りることにした。
ゆっくりとした足取りで階段を降りて、リビングに向かうとす既に電気が付いていた。

割れ物でも触るかのように私はドアノブを握り、下に下ろすようにしてドアを開けた。

「お兄ちゃん、おはよう」

お兄ちゃんは驚いたような顔をした。

「咲良、もう大丈夫なのか?」

お兄ちゃんはいつも心配性だ。

「大丈夫。お兄ちゃんは心配し過ぎだよ」

そう言って、笑って見せた。

「そうか?」

お兄ちゃんも笑う。不安な気持ちなんてすぐに無くなった。

私はお兄ちゃんの向かいの椅子に座った。

ふいにお兄ちゃんが真剣な表情を見せた。

「咲良本当に学校、大丈夫か?」
「大丈夫。先生もいるし」

私が言ったとたん、お兄ちゃんの表情に変化があった。

だけどそれはほんの一瞬で、気のせいだったんだと流すことにした。

「その“先生”ていうのは?」
「駿河先生だよ」

いきなり何なんだろう?

「そいつにはもう近づいちゃだめだよ」

いきなりお兄ちゃんはなんてことを言い出すんだろうと思いきや、私の右の頬にお兄ちゃんの左手が触れた。

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