束縛~愛と欲望に溺れた兄~【完】

第4章 監禁 /手に入れたもの~晋介side~

俺はムカついて咲良の頬を叩いた。

だが、反省するのは咲良の方だ。

「ごめんね?痛かった?だけど、敦の味方をしてる咲良が悪いよね」

俺は笑った。

「そんなっ」

まだ抵抗しようとする咲良に止めを刺すように言ってやった。

「俺に口答えするな」

自分でも驚く程、低い声。

これがさらに、俺を煽った。

今までは、怒ることなんてあんまりなかったし、叩いたこともなかった。

しかし、俺は気付いた。

叩けば俺だけを見てくれる、と。

ほら。俺を涙で潤んだ瞳で見ている。

「どうして?」
「ん?」
「お兄ちゃんはこんなことする人じゃないよ…」

笑えた。今までは優しくしてきたもの。
だから、知らないのも当たり前だね。

「そっか。咲良は本当の俺を知らないよね」
「どういう…こと…」

俺が告げればきょとんとした目で俺を見ている。俺だけを見ている。

あまりにも咲良が官能的過ぎて俺、おかしくなりそうだわ。

「そのままの意味だよ。俺には本当の顔がある」
「じゃあ、今までのお兄ちゃんは先生と同じ演技だったの?」

敦、だと?あいつと一緒にするな。

ムカつく。ムカつくムカつく。

「敦と一緒にするな。それに演技じゃねぇ」

俺は嘘なんかついてない。

あれも、一応“俺”だし。

「ふふ…わけが分からないって顔してるね」
「そんなこと…」
「顔と声に出てるからね」

咲良の悪い癖。

心の声が出てしまうこと。

「かーわいっ」

本当に可愛い。可愛すぎ。
そしてぎゅっと抱き締める。

俺の大きな胸板に顔を押し付けた。

「ん…んぅ…んん…」

苦しかったのか、何かを訴えようとした咲良のくぐもった声が聞こえた。

だけど、そんな咲良に欲情した俺は意地悪をしてみる。

「何?聞こえない。俺が好きだって?ははっ、咲良ってば大胆だなぁ」

いいように解釈する。

「んんー、んん、んん!」
「もー、うるさいなぁ…。少し黙ってよ」

またしつこくくぐもった声が聞こえた。

開放してやれば、むせていた。

「げほっ、ごほっ…げほ」
「あら?苦しかったの?ごめんね?」
「けほっけほっ」

悪いなんて思っちゃいない。
まるで他人事のようにあしらう。

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