風花 〜彼方への約束〜

序章 /〜輝かしい日〜

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ピピピピッ ピピピピッ ピピッ



「うぅ〜〜っ」

目を閉じたまま、目覚まし時計を探る。

冷たい金属の感触に触れた瞬間、私の手の上に手が重なる。


パチッ

重なった手の重みで、目覚まし時計が鳴り止んだ。


「おはよう。今日、寝起き良いじゃん。いつもは、目覚まし止めもしないで寝てるのに。」


マサが隣で伸びをしながら私に言う。

「おはよう、、。

それは、いつもマサが 先に止めるからでしょ。
時間帯が違うときは1人でちゃんと起きてますよ〜!

それに、、、今日は特別な日でしょ。」




2031年 7月。


そう。

今日は特別な日。



私、佐々木 桃李(ササキ トウリ)、30歳。

二見 風正(フタミ カゼマサ)と付き合い始めて2年になる。


一緒に暮らし始めて1年とちょっと。
結婚は、まだしていない。


お互い、そろそろ、と考えてはいるけれど、今はまだ訓練中だから。


マサとは会社の同期で、年齢は、大学院卒だから向こうが2つ上。

私達は、8年前に新青日本空輸 New Blue JAPAN Airways という航空会社にパイロット訓練生として採用された。


同期は全員で12人。その中の1人がマサだった。


パイロット=機長、っていう感覚が一般的だけど。
訓練生が最初に目指すのは、副操縦士だ。


厳しい訓練を皆で一緒に乗り越えて、いくつかの免許を取得し、副操縦士として発令されて初めて、パイロットとしてのスタートラインに立つことが出来る。


その後、副操縦士として機長と一緒に何年か飛んで、経験と知識を積んでいく。


副操縦士として乗務する期間は、会社やその人の進捗状況によって変わってくるけど、私達はおよそ7年だった。



1年ほど前に同期全員で機長昇格訓練に投入されて、先日、マサは一足先に国の機長認定審査に合格した。

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