風花 〜彼方への約束〜

第二章 /色なき風 〜イロナキカゼ〜


ーーーー


目を開くと、そこには知らない天井。



パイロットという職業柄、泊まりが多いから目が覚めると見慣れた家の天井じゃないことは良くある。


でも、今、私の目に映っているのは木造の天井。


そんなの、ステイ先のどこのホテルにもない。



そうか。


ここは、700年前の世界だったと思い出す。



そして、これは現実で夢じゃないのだと思い知らされる。



周りを見渡すと、最初に私が目を覚ました部屋だと気付く。


部屋の中には、畳が1枚。その上に薄い布団。私はその上で寝ていたみたいだ。



昨日は、縁側で高氏と話して、、、泣きながら眠ってしまったのか。


また、ここまで運んでくれたんだ。


私の上には、昨日、高氏が貸してくれた着物が掛かってる。



今、何時なんだろう。。。?



起き出して、戸を開けようとしたところで、勝手に戸が開いた。



驚いて、一瞬動きを止めると、戸の向こうから小さな悲鳴と水音が聞こえた。



「ひゃっ!」


驚いた反動で持っていた桶から水が飛び出す。



「馨!」


私は慌てて、ふらつく馨を支える。


水は、何とか大半が桶の中に留まった。



「桃李 様! 起きていらっしゃったのですね。失礼致しました! そろそろ、起こしに参ろうと思っておりました。」

と、笑顔を見せる。



「驚かせてごめんね。 おはよう。」


「おはようございます。ゆっくり、お休みになれましたか?」


「う、、うん。」


昨日の夜のことを思い出して、ちょっと恥ずかしくなる。


幾ら、あり得ないことが起きて、気が動転していたとはいえ、初めて会った人の肩借りて大泣きするなんて。。。


そんな、私の心の葛藤なんてまるで関係ないかのように、馨は、それは良うございました。と笑顔で言う。



もう、苦笑いするしかない。

0
  • しおりをはさむ
  • 11
  • 4
/ 388ページ
このページを編集する