Re:turn match!-1-

1st match /-0


「は、は、は、初めまして、きた、き、北村那月です。よ、よよ、よろしくお願いしましゅっ……」


 集まる視線に耐え切れず、思いっきり舌を噛んだ。滲む血の臭いに顔をしかめながら、勢い良く頭を下げる。


「いだっ!」


 勢いがよすぎて、ガンッ!と額を教卓にぶつけてしまい、反射的に呻きながら額を抑えると、どっと笑い声が溢れた。かっと耳まで熱くなる。

 最悪! 第一印象が大事だっていうのに、冒頭から失敗ばかり!

 羞恥に震える私を見かねてか、「北村さんの席は、廊下側の一番後ろね」とさっきよりも柔らかい声でそう教えてくれた。

 もうやだ! 死にたい! 穴があったら入りたい! そして誰か埋めてくれ! その上に墓石を置いてくれ!

 恥ずかしくて顔があげられないまま、こくんと頷いて指定された席へと向かう。


ようやく顔を上げられたのは、指定された自分の席まであと数歩というとき。ふっと、まるで何かに引っ張られるかのように視線を持ち上げた。後から思うが、きっとあれは、虫の知らせというものなのだろう。

 自分の席の隣の男の子と、ぱちっと目が合った。

 襟足の長い茶髪、涼しげな目元に印象的な泣き黒子、すっと通った長い鼻梁にゆるく弧を描いた薄い唇。

 凄まじく整った顔立ちだが、そこに残る面差しに過去の記憶がふっと浮かび、血の気が引いた。思わず上げそうになった悲鳴を唾とともに飲み込み、そのまま息を止めた。


「久しぶりだね、なっちゃん」


 言葉を失って立ち尽くす私に、菅田吏斗かんだ りとはゆるく笑みを浮かべた。


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