Re:turn match!-1-






「なっちゃーん! プリントースト買ってきて!」

「え、」

「あ、じゃあ俺ジャイアントパン!」

「じゃあ私は苺ミルク頼もうかな。あ、キャラメルソースが入ってるやつね」

「んじゃ俺は、唐揚げ弁当で」


 お昼休み。

 例のごとくぞろぞろと教室に来た四人は、近くの席から椅子を借りて菅田吏斗の周りに座った。そして、御田麻美が私の方を向いたのを皮切りに、色々と注文が飛んでくる。

 早速パシリか!


「はい、これお金ね。早くいかないと売り切れちゃうから、さっさと行ってきて」


 ぽん、と私の手にお金を乗せる鈴村紀伊。思わず受け取ってしまった自分を、バカ! と心の中で詰った。

 これじゃあ下僕じゃん! いじめられっ子から下僕って、小学校の時から何も変わってないじゃん! ちゃんと嫌って言えよ私!


「何、ぼうっとしてんの? スカスカなお頭じゃ覚えらんないの?」


 鈴村紀伊に睨まれ、私は蚊の鳴くような声で「行ってきます……」と言って教室を出た。





 一階にある購買は、昼休みの今は戦場だった。食べ盛りな生徒たちが揉み合い、奪い合い、引っかき合い、殴り合っている。あの中に入っていくには勇気が要った。

 ああ、なんで私はあいつらのためにこの戦場に身を投げなければならないのだろう。立ち尽くしたまま、私は泣きたくなった。

 悔しい。

 なんで、言い返せないんだろう。なんで、言いなりになってるんだろう。今の私は、あの頃とは違う。嫌なことは嫌だと、言いなりになんてならないと、言えるはずなのに。

 あの人たちを前にすると、足が竦む。心臓が潰されるような感覚がする。過去の記憶が、弱くて泣いていたあの頃の自分が、蘇ってくる。


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