溜め息 第一部【完】

第一章 /溜め息一







セックスは好き。



快楽を僕に与えてくれるから。

身体を重ねるのはそれ特有の快楽が走って、癖になる。




「あっ……あっ………気持ち良い……。」




媚びるように喘ぐ声。

それを割くように鳴る、ベッドのスプリング音。

汗の浮いた素肌。



それから、頭が痛くなるような甘い表情。




「可愛いよ。」



本音とは違う、その場限りの戯言。

そんな嘘に塗れた薄っぺらい言葉を、これまで幾度となく繰り返し重ねてきた。



身体を繋いだ相手の顔なんて、一々記憶してやいない。

理由は単純だ、何故なら僕は相手に興味がないからだ。




肉欲さえ満たされればそれで良い。

己の欲さえ吐き出せれば満足だった。



セックスに意味なんてない。

その行為は、小説とかで丁寧に美しく描かれる程、綺麗でもなければ魅力的な物でもない。




本能の赴くままにする性行為。

他の人はどうだか分からないけれど、少なくとも僕のそれには何の感情も孕んではいない。




恋や愛なんてそんなもの…僕にはまるで分からない。





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