溜め息 第一部【完】

第四章 /溜め息十







太一の一言が、やけにストンと僕の中に落ちた。


心から納得できたというか、僕はその名前が出るのを最初から覚悟していたからか、特別大きな驚きはなかった。




「…そっか。」




うん。


知ってた。




普通の人間じゃないって直感で分かっていた。


あの男と対峙した時、柳生海十の漂わせる並々ならぬ雰囲気と威圧に圧倒されたのがつい昨日の出来事だ。





今の星森高校が二つに割れている事も。

それが暴走族の大蛇の派閥に影響を及ぼしている事も。



どれも初耳な情報だけれど、生憎それに興味はない。

ただ、今までの僕ならその話を聞いても単に聞き流すだけだったと思う。





「ねぇ太一。その柳生海十と憂李との関係は何なの?」



…でも、現在の僕は太一の持って来たその話に質問をせずにはいられない。



星森高校も、大蛇も、全部が遠くて自分には関係のない存在だと決め込んでいた。


けれど僕の恋した人は、星森高校の頂点に君臨する男と口付けを交わしていた。





「あの二人は一体どういう肩書きで繋がっているの?」




僕が溺れた相手は、大蛇の総長の座にいる男に抱き締められていた。






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