溜め息 第一部【完】







からかってる?


いや、でもあの西門も真剣な表情を僕に向けている。




この二人の言葉は、何処までが本気で何処からが冗談なのか判断が困難だ。


つい先日あった期末考査よりも頭を抱えてしまいたくなる。





「…本当に、何かあったら頼って良いの?」

「ああ、いつでも呼べ。手や知恵は貸してやる。」





今度こそ嘘ではないらしい。


番号教えるから携帯を寄越せと手を伸ばす相手は、初めて言葉を交わした日から変わる事無く強引で横暴だ。




けれど、そんな彼等に対して不思議と嫌な気分にはならなかった。





「そっちにとってみれば、僕何て何処の馬の骨かも分からない男でしょ。」

「いや、そうでもねぇ、お前の情報は全て調査済みだ。家族構成から血液型や生年月日まで知ってる。」

「法律違反だ。」

「あ?極道と暴走族に法律なんて通用する訳ねぇだろ。」




それもそうだけど。


法律を一々守っていそうな人間にはとても見えないし、現にその隣の男は県警の息子の癖に堂々と法律を破っていた。





「というわけだ。」

「え、どういうわけ?」

「俺も嗣生もテメェの味方だって事だ。雪峰と東條に接触したら必ず言えよ、あいつ等は一般人も見境なく殺す連中だからな。」





残念な事に柳生の言葉には説得力しかない。


一般人でも見境なく殺す。その現場を実際目にした僕は、固く口を結んで頷いた。






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