溜め息 第一部【完】










よくドラマや映画で描かれている男女の恋愛。



昔からそれ等が目に触れる度に、たかだか恋愛如きで思考も感情も人生までもを容易に投げ捨てる登場人物の姿が、僕には甚だ理解できなかった。





セックスさえできればそれで良かった。


感情を含まない性行為は、ただただ気持ち良くて無駄がなく合理的だ。

相手の事なんて気にしなくて良いし、不満足になっている性欲だけは満たされるし、後腐れだってない。




まぁ実際は、何十回も頬に平手打ちを喰らったわけだけど。それでも、僕は恋愛と謂う概念自体を何処かで愚かだと嘲笑っていたのだと思う。


愚かな恋愛に溺れている男女を、憐れだと決めつけて嗤っていたのだ。





けれど、真の愚か者は僕だったらしい。





「郁。」

「……憂李っっ…好き……。」

「あっ……うん……。」

「愛してるって言って。お願いだから…僕を愛してると言って憂李。」

「あっ…あっ………郁………。」




欲のままに乱暴に腰を打ち付けよう物なら、一瞬で儚く壊れてしまいそうな憂李の存在を確かめるように、彼女の括れた腰を掴んで腹に口付けを降らせる。




本当に、可笑しくなってしまいそう。


この子の事が好きで、愛おしくて、どうにかなってしまいそうだ。






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