溜め息 第一部【完】

第二章 /溜め息四





自室のベッドの上。


そこに無気力に横臥している僕は、真っ白な天井を見上げながら掌で顔を覆った。




「………辛い…。」




そうしてやっと絞り出た声は、情けないけれど震えていた。



降りしきる雨の中、抵抗する事もなく男の口付けを受け入れていた憂李が頭から離れない。


大人しく舌を出して、荒々しくそれを絡めとられていた憂李の口からしきりに漏れていた甘い声が耳に纏わり付いているような感覚に陥る。




…まるで、野獣のような男だった。


深いインディゴ色をした濡れた髪。

そこから覗く、鋭い瞳。

他を一切寄せ付けない殺気すらも感じた。



そして何より憂李の身体に触れ唇を奪っていたあの男は、恐ろしいまでに端正な顔をしていた。





憂李の口の端から流れた唾液。

一生懸命に激しい接吻を受け入れていたあの表情。





僕の心は一瞬にして、ドロドロとした黒い感情に呑み込まれた。







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