Dummy HoneyⅡ

Dummy Honey Ⅴ /*U








便箋全てをまとめて胸に抱き締めただけで、剣への愛おしさが溢れて涙腺が緩んでしまいそうになる。




狡い男。


その癖、最高に優しい男。




「ありがとう。」




自然と口を突いてそう言葉を漏らした刹那、コンコンと部屋にノック音が響いて開いた扉から、想い人が綺麗な顔を覗かせた。





「秋も深まって来たな。」

「いや何処の学校のお便りだよ、しかももう冬じゃん。」




そして感動に浸っていた私を返せ。


ねぇ本当にこれ書いたのあんた?あんたで合ってる?現物との差が凄いんだけど?



入っていいかと問われ頷けば、湯気の立っているマグカップと共に剣が傍まで歩み寄って来た。





「蜂蜜の入った紅茶だ。真白の母さんから貰って来た。」

「ありがとう。」

「別にこれくらい大した事じゃ……って…なんっ…。」

「え?ナン?」

「違ぇ!!!何でお前、それ持ってんだよ!!!!」




突然人が変わったみたいに慌てふためいた相手が指差したのは、私が抱えている手紙だった。




「え、だって私の為に書いてくれたんじゃないのこれ。」

「そ、そ、そ、そうだけど……俺が帰ってから手紙の存在に気づいて恋しくなって電話するのが流れだろうが。」

「ドラマ見過ぎだろ。」




顔を真っ赤にするだけでなく、首筋まで紅潮させた剣はその場で胡坐をかいて「恥ずかしい」と呟いた。


可愛い奴め。





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