Dummy HoneyⅡ

Dummy Honey Ⅱ /*T








沖縄の旅から帰って来た8月後半。



「莉苑~おやつの時間よ~。」

「私もいるけどな。」




リビングで映画鑑賞を楽しむ私とりー君の元に、焼き立てのクッキーを持ってやって来た雪乃(母親)。




「わーい。僕雪乃ちゃんのお菓子大好き。」

「きゃー嬉しい。たくさん食べてね。…真白は自分で取りなさいね。」

「差別反対。」



この人本当に私の親かよ。


りー君のだけは可愛い器にクッキーをよそってあげてる癖に、私には鉄板のまま差し出して来やがった。




「差別?何言ってるの、区別よ。」

「あんたが何言ってんだ。」




堂々と言う台詞じゃないだろ正気か。


酷いよ、この人美形の男にしか優しくないよ。





「強烈な遺伝を感じざるを得ない。」



いとわろし。



いい歳こいて、りー君に色気たっぷりのウィンクをかます母親が将来の自分に見えて頭痛を覚える。





「真白も一緒に食べよう?」




突然、目前に出没したりー君の綺麗なお顔。


こてんと首を傾げながら見せる彼の笑顔は、花が咲き誇る様によく似ているなと思う。




「うん、食べよっか。」

「えへへ。」




頬に浮かぶ笑窪すら愛らしい。


腕が触れ合うくらい密着して座る彼は、やたらご機嫌だ。





「りー君、楽しそうだね。」

「うん、だって真白と二人で過ごせるもん。」




私の肩に頭を凭れさせて、素直に甘えるりー君の毛先が首筋にかかって少しだけ擽ったい。






ピンポーン



穏やかに流れていたりー君との時間は、前触れもなく鼓膜を突いたインターホンによって終わりを告げた。






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