林檎ちゃんの、メランコリー【完】

蜜柑芽維の憂鬱 /Karte II










涙目でベッドと手首を手錠で繋がれている林檎ちゃん。





「芽維君と柘榴君が親友だなんて聞いてないよ!」




長年の募らせていた恋が漸く成就し、晴れて恋人同士になった僕等の元へ現れた邪魔者に視線を向けて喚声を上げる可愛い恋人。





「だって林檎ちゃんに訊かれてないもん。」

「狡いよ!」





正真正銘、僕だけの物になったはずなのに、彼女への独占欲は治まる気配を見せてくれない。


寧ろ日を追うごとに膨らむその欲望に、狂ってしまいそうになる。






「芽維、俺達の事まだ林檎先輩に言ってなかったのかよ。」




持参したケーキを頬張りながら呑気している男は、さっきまでの甘い時間をぶち壊してくれた元凶だ。


恨めしい相手を睨んでも、笑い声しか返って来ない。





「だから林檎ちゃんの名前を馴れ馴れしく呼ぶのやめてって言ってるよね葉風。」

「そうだっけ?」

「確信犯の癖に。」

「だって芽維の余裕がなくなる顔って貴重じゃん。」




愉快そうにするのやめろよ。


全く、とんでもない人間と親友になってしまった。




早く大好きな花の手入れをしに行ってしまえ。毎度何の連絡も寄越さず突然現れる葉風に、自然と溜め息が漏れていた。





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