林檎ちゃんの、メランコリー【完】

メランコリー 2 /Karte VI









どうしてこうなってしまったの。





私の膝に広げられた、楽しみにしていたはずのママ特製お弁当。


ついさっきまでお腹がぐーぐー鳴って空腹を訴えていたはずなのに、生憎お弁当に手を付けられる程の余裕を私は欠いていた。






「りーんごちゃん。」

「……。」







書類や化学薬品が並ぶ棚。

ビーカーや試験管。フラスコも所狭しと置かれている此処、化学準備室に響く声。



とてもとても残念な事に、他に人がいないせいで甘くて艶のあるそれがやけに耳を擽ってくる。




今頃のんちゃんと楽しくお弁当を食べてるはずだったのに。


その後は購買で人気のプリンを買おうねって約束してたのに。





まだ手付かずのお弁当を見つめながら、無防備だった己への後悔を募らせる。






「ねぇ。」

「へ?」






落ちてきた不機嫌な声と同時に、意図せず切り替わった視界。


細長い指によって顎を掴まれ強引に上昇した視線が留まったのは、綺麗な顔を不服そうに崩した芽維君の姿だった。





「ど、ど、ど、どうしたの?」





近い!!!


とてつもなく距離が近いよ!!!!





あきらかに動揺した自分の上擦った声が小さく漏れる。


吐息のかかる距離にある彼の顔は、唇を尖らせた。





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