他者の欲望に呑まれた少女は霧雨が降るビルの上、助けを乞う。硝煙と朱を纏う美しき男は悪魔の笑みを浮かべた。
『逃がすわけねえだろ。俺の獲物だ。』

欲望の渦巻く汚い世界で、少女は云う。







「ねえ。もし神様なんて存在するなら、

私の翼全て捥ぎ取って、完全に自由なんて与えないように鎖で縛ってよ」







今日も終わりの無い、監視下の中で生きる。








薄暗い暗闇の裏世界で、美しき血濡れの少年は云う。







『救うなんて綺麗事は言わねえ。

此処まで、堕ちてこい』








私の漆黒の翼を引き千切ったのは、冷酷な支配者。








壊れていた歯車は、断末魔を響かせリスクを背負ったまま動き始めた