涙のあと 上 修正中

第4章

「俯いてんじゃねぇよ。俺の目ぇ見て、答えてみろよ。したら、信じてやるよ。」

「わ、私。・・・私、ひ、ひび」


遥の顔がちらついた。遥の温もりが、遥の声が、遥の全てが私を支配する。崩れ落ちるように、跪いた。


「千尋。」


頭上から、冷たい声が降って来た。


「それが、お前の答えだ。」


響さんは苦々しい口調で言い放ち、病室を出て行った。


ーー次の日の夕方、遥が学校帰りに病室に来た。


「久しぶりの学校は、疲れた。」


そう言って、ネクタイを緩める。遥の首筋にある大量の赤い華に、顔を赤らめる。


「恥ずかしいんですけど。」

「俺は平気だけど?」


しれっと言う遥。


「大体、姫さんが付けたんだろ?何で恥ずかしがるんだよ。」


付けた本人が恥ずかしがって、付けられた方が平気って、おかしいのかな・・・やっぱり。・・・世の男は、平気なもんなのか?遥が特別なのか・・・悩む所だ。


「あ、そうだ。退院が決まったから。」

「いつ?」

「明日。」

「明日って・・・また急だねぇ。」

「うん。なんとか落ち着いたしね。早く退院したいだろうからって、若が決めた。」

「響さんが?」

「そう。・・・んで、俺明日用事あっから迎え来れないんだ。」

「用事?」

「そそ。代わりの人間が来るから、そいつと帰って。」

「分かった。」

「学校と、バイトは後、2、3日待ってね。俺帰って来てからって事で。」

「えっ?明日だけじゃないの?」


私の言葉に遥は「んー」と、考える素振りをする。


「予定ではね。でも、多分無理かな・・・ 早く戻って来るようにするし、じゃないと、折角一杯付けてくれた首輪が消えちゃうからね。」


ボンと、頭の中で音がした。きっと、顔が真っ赤だ。


「どうして、そう言うことを、しれっと言っちゃうかなぁ。」

「俺素直だから?」

「皮肉れ者じゃなかったっけ?」

「惚れた女には素直なの。」


また、顔が火照った。キッと睨み付けてやる。


「ホント姫さんは、可愛いねー。」


頭を撫でられた。その行為があまりにも優しくて、思わず目を閉じた。

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