砂時計 【完】+SS修正中


「朱菜、どうして何も言わなかった?俺に聞いてくれたら「聞いたんだとよ、お前の口から噂が確信に変わる言葉を」」



「は?.....何を?...」

眉間に皺を寄せて考え始めた仁志さんに、そうだ、あの時の仁志さんの言葉は確かに私がこの耳で聞いた真実なのだと思い出した



「ククッ、1年も一緒に暮らしてきてお前ら本当に何をしてきたんだ?呆れるよ」

仁志さんに向かい冷たい視線をほんの一瞬向けた葵君はその視線を逸らして目を瞑り、溜息を吐いた



「とりあえず噂は真っ赤な嘘だった、それでいいな?」


葵君が確認するように美咲さんを見れば、美咲さんは頷いて私へと顔を向けた

その顔はさっきまでの多様な表情を向けていた時とは違い、真摯に私と向き合う眼差しで、その力強さに私は逸らしてしまいたくなる心を必死に抑えて美咲さんの瞳を見つめた



「高梨さん、私と仁志が別れた理由にも、大阪支店に行ったのも私の意思によるものよ、あなたは一切関係していない、寧ろもっと早くあなたの誤解を解いてあげれていればと悔やんでも悔やみきれないわ....」


こんな時にでも私を気遣う美咲さんの言葉に涙が溢れてしまう

けれど、私はこれだけは再度確認しなければならない

「あのっ、本当に、本当に栄転なんですよね?美咲さんは今ちゃんと幸せですか?っ...仁志さんとお別れした事を後悔してはいないですか?」


私は今回美咲さんと仁志さんが再会すれば、自然と2人の砂時計は再び動き出すと考えていた

それだけ仁志さんの心の中には美咲さんがずっといるのだと


他の女性を抱いて寂しさを埋めてしまうほど愛しているのだとそう思っていた


だから美咲さんの中にも同じ様に、仁志さんがずっといるのだと


私はそう疑う事なく思っていた


「.....後悔していると言ったらどうするの?私に仁志を返すつもり?」


何も返す言葉もなく目を泳がせた私を美咲さんと仁志さんは目を大きく開かせて驚愕した




「ええええぇぇぇっ!!!いらないし!!」


「.......はあ.....マジかよ....」



「真柴、俺に感謝しろよ、もう少しで捨てられてたぞ」



クツクツと笑いなが、私の頭をポンポン撫でる葵君

どこまでもマイペースだと感心する










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