ブロンドロンド

依存症




夏も過ぎて、涼しい風が吹くようになった頃、ひまりは、学校の帰り道をひとり歩いていると、見覚えのある人がひまりに声をかけた。

「ひまり・・・・・・・」
目の前にいるのは、小学校の時に生き別れになった父親だった。
あの頃と、ほとんど変わらず、少しだけ歳をとっていた。18歳で子供を生んでいるのだから普通の父親に比べれば若い。
「パパ・・・・」

二人は、近くのファミレスに入り、話をした。

父は、事件のニュースを見て、ひまりのことが心配になって、会いに来たという。
本当は、今までもひまりに会うことを、母に要求していたがことごとく断られていたらしい。
母は、ひまりが小学校くらいから、精神的におかしくなっていって、父は家を追い出された。
それに関して、何度も何度もひまりにあやまった。
現在は、高校を卒業してから働いている、会社で係長になっている。
再婚もしていて、新しい家族があって、子供も3人いるらしい。
これで、帰るという時に父は、ひまり名義の口座をひまりにわたした。

「今まで、本当にごめんな。父親らしいこともしてあげられなくて・・・・だから、せめてもこれだけは受け取ってくれ。これで進学してもいいし、結婚資金にしてくれてもいいし・・・」

「え・・・・ありがとう・・・・パパ・・・」

ひまりは、受け取ると大切にカバンにいれた。

「元気で、頑張れよ!」
「うん。パパあのね、私、絶対、いい看護師になるから」

そう言って、二人は違う方向へ進んでいった。
ひまりは、一人だ。孤独だ。
でも、もう大人になる。


実の父との再会により、ひまりは少しずつ笑顔を取り戻した。
しかし、彼女の体には異変が起きていた。
緊急で、ピルを処方されたため、妊娠こそしなかったが、加山の体の熱がひまりの中で消えない。
彼のことを考えるだけで、寂しくて、切なくて、苦しい。
もう一度、キスしてほしい、抱いてほしい・・・・会いたい・・・・

ひまりは、加山に依存していた。

ひまりは、受験に集中するためと、父からもらったお金で少し余裕が出たため、バイトの日数を減らした。
勉強する際は、近所の図書館へ足を運んだ。

ひまりが勉強をしているが、考え事ばかりで上の空だった。

「隣いいですか?」

低い男の声が響いた。隣に座った男は、高身長で、切れ長の目に、メガネをしていた。少しだけ加山と似ているのか、にているように見えるのか、ひまりは、となりに座る彼の手を見て、あの日のことを思い出し、胸がどきどきした。
同時に、身体中が熱くなる。
隣に座った男も勉強を始めた。
ふいに、ひまりと目が合う。
ひまりは、はずかしくなって顔を背けた。

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