微熱恋情【完】

The Last Chapter





怠惰な日々を浪費している間に短い冬休みも明け、慌ただしく過ぎ去る日常に独り取り残されたような漠然とした寂寥感が胸の奥にくゆる。

窓の外に見える中庭の木々は寒さに枯れた葉を落とし、その下に生える芝生には薄っすらと霜が降りていた。


と。

「なに黄昏てるわけ?」


不意に聞こえた声にゆらり、視線を流せばその先で勝気そうな表情で私を伺う志麻と目が合う。



「…何でもないよ」

「瑠璃、最近ちょっと変わったね」

「え?」

「雰囲気がね、なんか余計大人びたみたい」

「……」



そうかな?特に自分の変化に何の自覚もなかったので曖昧に首を傾げると、その真似をして志麻もこてんと首を傾げた。

動きがシンクロしたことに二人で小さく噴き出して、教室の賑やかな喧騒に溶け込む。




「表情、暗い?」

「んー…、表情とかより雰囲気?」

「雰囲気?」

「表情暗いのは前からだし、だけど最近余計近寄りにくさ増したよね」

「……」



近寄りにくいって、ひどい。

相変わらず遠慮の欠片も見せない志麻の言葉に若干ヘコみながらも、何も言えない自分の気弱さが嫌になる。





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