微熱恋情【完】

Chapter.5





重厚な造りの門をくぐり抜ければ慣れない雰囲気に少し狼狽えた。そこには近代的な建物が建ち並び、行き交う人達が酷く大人に見えた。

ここは、椎名さんの通う大学である。



少し用があるから出掛ける前に一度大学に寄りたいと椎名さんに言われ、場違いと言わざる負えないその場所までノコノコついて来たわけだけど。

同じ学校であることに違いないのに、私の通う一般的な公立高校とは比べ物にならないほどの規模に少し感心。




「ここで待っててもらっていい?」

「えっ、」

「すぐ戻ってくるから」

「あ…、はい」



腕時計に視線を落としながら億劫そうな声音で言った椎名さんに、知らない場所に一人で残るのは心細いと思ったものの言えるはずもなく。

足早に建物の中へと消えていく背中を見送った。



何か先約でもあったのかな?

オレンジ色に染まる空を仰ぎながく吐息を吐き出し、ずるりとコンクリートの壁に身を預けた。






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