ライトスパイス【完】

Chapter.9





今日も今日とて、深夜のコンビニは暇である。





「観月、俺眠い」

「うるさいしっかりしろ相澤」

「え、敬語放棄?」

「敬えるとこがないんで」

「心折れそう」



ぽつぽつと怠惰なコミュニケーションを交わしつつ欠伸を噛み殺す。ああああ、眠い。

この間まで感じていた気まずさは眠気を前にしてぶっ飛んだので、もう相澤さんなんてただのエロい人である。



「ひとつ、質問してもいい?」

「聞くだけなら」

「どういう意味?」

「答えるかどうかは別として、って意味です」

「なるほどねえ」



覇気のない声で呟いた相澤さんへ視線を滑らせれば、相変わらず気怠さと色気を兼ね備えた感情の読み難い目が私を捉える。

次に空気に乗せられる言葉を悟らせることのないそれに、私は低下していた警戒感をゆっくりと浮上させた。



と。

「この前の元彼のこと、好きなの?」



ああそれか、と出てきた言葉に何故だか胸が少し重たくなった。

なんか、最近あいつのことばっかり考えてる。




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