ライトスパイス【完】

Chapter.1






再会というものは、唐突に訪れるらしい。

思考が停止したままの私を嘲笑うように時間だけが淡々と流れ、眼前に居座る男は相も変わらぬ軽薄ぶった笑みを浮かべると。




「————久し振り」



そんなありきたりな挨拶で浮ついた沈黙を打破し、優雅に首を傾げながら私の顔を覗き見る。

柄にもなくびくりと震える肩。混乱する思考を必死に巡らせ、慎重に慎重を重ねて次に発する言葉を頭の中で選別する。



が。

「どちら様ですか?」



私の愚かな脳はこの状況でしらばっくれるという、正常な状態であったならば絶対に選ばないような選択を下したのだった。




「さようなら」

「待った」



無理やり扉を閉めようとする私を無遠慮に突っ込まれた男の脚が邪魔する。


ああもう、煩わしい!

突っ込まれた脚に構わず扉を閉めようとすれば、強引に部屋の扉を開けられる。これって軽く犯罪じゃないの?






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