ライトスパイス【完】

Chapter.11





休憩中に惰眠を貪ったお陰かいつもより少し眠気がましに思える午前5時すぎ。

ずっと店内にいては気が滅入るので少しだけ外の空気を肺に取り込もうと自動ドアをくぐれば、既に青い空が颯爽と世界を彩っていた。



「暑くなりそー…」


落とした独白は夏の朝の爽やかな風に拐われて消えた。



「朝はまだ涼しいな」

「ですね」


後ろから隣に並んだ相澤さんは眩しそうに青く澄み切った空を仰いだ。

その横顔は少し痩せたように見える。



「最近忙しそうですね」

「ん?ああ、博士課程の修論が中々どん詰まりでさ、それなのに教授はお構いなしに雑用押し付けてくるしで毎日ドタバタ」

「うわ、大変そう」

「今のところ35時間不眠不休」

「…お疲れ様です」



柄にもなく労いの言葉を呟いた私に、相澤さんは苦笑混じりに笑って、ありがとうと素直に呟いた。


ちょっと、調子狂う。

そんな素直にお礼とか言われるとさ。





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