ライトスパイス【完】

Chapter.12





目が覚めたら、誰かの腕の中にいた。

その腕が誰のものかを不思議と私の脳は当たり前のように理解していて、顔を上げれば明るさの中に焦げ茶色の瞳を見つける。



「おはよ、千歳」

「おはよう」



視界の端に捉えた時計の針は11時を指している。冷房の効いた室内は少し肌寒くてブランケットを肩までずり上げた。


見慣れない智也の部屋、智也の匂いのシーツ、智也の腕の中、智也の体温。

まるで麻薬みたいだと眠気の残る頭で思った。




「よく寝れた?」

「うん」

「俺はあんま寝れなかったけど」

「なら今から寝なよ、私先に帰ってるから」

「ほんと可愛くねー」



不貞腐れたように首筋に顔を埋めてくる智也。その仕草が子供みたいで可笑しくて、少し笑えば肩に噛み付かれた。


相変わらず突拍子もない行動に小さく身動げば、今度は智也が笑ってそこに吸い付く。

こういう朝の甘ったるい空気は少し苦手だ。

何故なら心臓に悪い。





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