ライトスパイス【完】

Chapter.5






時計が時を刻む音だけが響く店内。

職務怠慢と言われれば反論の余地もない私はレジの奥に置かれたパイプ椅子にだらしなく腰掛けながら、ぽつりと呟きを零す。



「相澤さんがエロい」

「いきなり?」



きょとん、とした表情で首をかしげている相澤さんは普段は掛けていない黒縁の眼鏡を掛けていて。


わあ、なんと淫靡な。

と思わず冒頭の言葉を落としたのだ。




「眼鏡、エロいですね」

「最近ドライアイが酷くて、コンタクトやめといた」

「煽情的ですね」

「やめろ人を色魔みたいに言うな」



呆れ顔でゆるく突っ込んでくる相澤さん。

今日も今日とて、深夜のコンビニは暇を極めている。


スニーカーを履いた脚をぶらぶら揺らしながら時間が過ぎるのを待つが、まだ深夜の2時を少し回ったところで退勤まではまだまだ長い。



「あ、日曜日って暇?」

「スケジュールの事は事務所通して下さい」

「アイドルかお前は」

「暇ですけどなにか」

「……」



なんだよ、その顔は。





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