ライトスパイス【完】

Chapter.6





人通りの多さに辟易しながら怠い脚で歩く。

黄昏時の空は赤く、耳を澄ませば間もなく訪れる夜の気配が其処彼処から聞こえてきた。



と。

「あ、観月こっち」


駅前に設置された噴水の前、ひらりひらりと手を振っている相澤さんを見つけ、私は軽く会釈だけしたあと小走りで駆け寄った。



「お待たせしました」

「いえいえ」



バイトの時より少しキッチリと整えられた髪を耳に掛けながら、ゆるい調子で笑った相澤さん。

普段夜中にしか会わない彼を夕方に見るのは新鮮だ。



「私服だ」

「…ここでバイトの制服だったら逆に可笑しいでしょ」

「そういう服着るんだ」

「まあ…」



そんな見られても、困るんだけど。

何故か関心したような顔でジロジロと凝視してくる相澤さんに少し当惑した。


バイトの時は基本的に家でスキニーと白のシャツに着替えてから向かうので、相澤さんに私服を見せるのは初めてなのだけど。





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