愛を、もう一度 【前編】

愛を、もう一度 /1989年





――1989年9月29日



大輔と私が付き合い始めたことは翌日から部活内では周知の事実となった。
そして夏休みが終わると、学校内でも知れ渡ることとなった。

なにせ大輔は有名人だったから。その性格だけでなく女子の黄色い声がうるさいほど顔も整っていたし、バスケに恵まれた体格をしていて、バスケのみならず他の部活から助っ人を頼まれるようなスポーツセンスにも優れた人だった。

先輩後輩問わず慕われる大輔と、私のような愛想のない女の組み合わせに納得できない人は大勢いたはずだ。実際に、妬みからか3年生の先輩からいじめまがいなことも受けた。

「もうかおりちゃんに誰も手出しさせないから。安心して」

でも、どこから情報が入ってきていたのか、大輔は私が何かされたとあればすぐにその犯人を突き止め、自ら注意しに中学校までやって来た。
普段は優しくて怒る姿なんて見せない大輔。このときは見ているこっちが少しひやっとするくらい冷たい顔をしていた。

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