愛を、もう一度 【前編】

愛を、もう一度 /1991年





――1991年7月29日


永瀬サツキは大柄な男だった。
格闘家とまではいかないけれど、身長も高くて体格が良い。涼し気な目元と高すぎない鼻、薄い唇といったあっさりした顔立ちは、赤城さんや西浦幸人のような濃い顔立ちの美形とはまた違った魅力がある。

口数は少なく表情が豊かとはいえないものの、彼にしか出せない強いオーラが印象的だった。
まるで獅子のような、黙っていても溢れ出るオーラ。

立ち向かってきた相手を一睨みで戦意喪失させてしまうような、後ろに付き従いたくなるような…大輔がそうだったように、永瀬サツキは男が憧れるような男だった。


『……』

「……」


じっと見ていたことに気付いたのか、永瀬サツキの視線が私の顔をとらえた。

大丈夫、覚えているわけない。
この男と会話を交わしたのは一言だけだ。

大輔に紹介されて、仕方なく“……どうも”と頭を下げた私に、この男は“…ああ”と軽く目配せするだけだった。それ以来一度も接触したことなんてない。

それなのに、永瀬サツキはカウンターに座ろうとせず、じっと私の方を見ていた。

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