愛を、もう一度 【前編】

愛を、もう一度 /1990年





――1990年4月20日


私は中学3年生に、大輔は高校2年生に進級して、2人で迎える始めての春。
ついこないだやっと一歳縮まったと思ったのに、4月20日生まれの大輔はすぐに17歳になってしまった。

大輔の誕生日、私は黒いジャケットをプレゼントした。声を上げて喜ぶ大輔は、自分の誕生日なのになぜか私にプレゼントを用意していた。


「これ、開けてみて」

『……うん』


小さな箱を開けると、そこにはシルバーの指輪が2つ、入っていた。


『……これ』

「買っちゃった…ペアリング…へへっ」

『……大輔』


照れくさそうに笑う大輔を、私はどんな顔で見ていたのかな。胸に熱い思いが込み上げてきて、大輔の顔をまともにみれなかった。

大輔は大きい方の指輪をとって私に渡した。


「かおりがつけて」

『……うん』


迷うことなく差し出された左手。もちろん、その中の薬指に指輪をはめると、ぴったりとはまった。


『……なんか…結婚式みたい』


自分で言ってて恥ずかしかったけど、本当にそう思ったから。大輔なんて正座していたし。
きっとこんなことを言ったら笑われるって思ったのに、大輔の顔は真剣そのものだった。


「あのさ…みたいじゃなくて…俺、かおりが高校卒業したら結婚したい」

『……は…(今…なんて…)』

「これから先も、かおりと一緒に生きていきたいって思ってる。かおりと結婚して、どこよりも温かい家族つくりたい」

『……な…に…』


突然の告白に、頭の中が真っ白で、大輔の言葉が入ってこなかった。
結婚?家族?私が…大輔と?
大輔の顔を見れば、大輔が冗談で言っているとは思えなかった。

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