愛を、もう一度 【前編】


『……大輔の仲間じゃないんですか』

「仲間か…まぁEmperorには所属してるけど。俺らはあいつのことリーダーなんて認めてねえよ」

「あんな腰抜け。腕っぷしなら宮本のが数倍勝るんだぜ?」

「あんなのただのバイク馬鹿だろっ。甘いんだよ大輔は、ただの甘ちゃんなんだよっ」

「あんなのがトップじゃEmperorも終わったよなぁ」


もう、それ以上耐えられなかった。

大輔が私に隠してたことも、大輔が暴走族のチームに入っていたことも、許したわけではない。納得したわけでもない。
でも、それ以上、大輔をけなされるのは許せなかった。


『だから…あなたたちはトップになれなかったんでしょうね』

「……ああ!?」

「んだと?もういっぺん言ってみろや」


わからないのなら何度だって言う。


『…大輔は…大輔なら仲間の陰口なんて絶対言わない。言いたいことがあれば真っすぐぶつかるの。上辺だけ繕った関係を築いたりしないっ。優しくて、思いやりがあって…っ…』


そうだよ。
大輔は、むやみに人を傷つけたりしない。
暴力でも言葉でも。絶対に…。

自分が誰よりも深く傷ついてきたから、痛みがわかるから、人に優しく出来るんだ。
だから、人が自然に集まる。口先だけじゃないから、信頼出来るから。

宮本さんが言った言葉が、今やっと私にも少しだけ理解できた。

“みんなお前のこと信頼してるから…だから、腕っぷしのいい俺じゃなくて…お前の方が相応しいって言われたんだろ!”

喧嘩が、力が、強いだけじゃダメなんだ。ぶれない真っすぐな心と、人を無意識に惹きつけるものがなければ、人はついてこない。
この男たちではなく、大輔が選ばれた理由は素直に納得出来た。


『大輔のこと馬鹿にしないで…あんたたちなんかより大輔の方が何倍もリーダーに相応しいっ!!』


こんなこと、言いたくなかったのに。大輔の資質は、認めざるを得ないんだ。

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