愛を、もう一度 【前編】

愛を、もう一度 /1991年






――1991年6月20日


まるで流行のように、不良ものの漫画や映画を好み憧れる同級生たちを、私を醒めた心でただ見つめていた。
漫画や映画なんて所詮ご都合主義だ。
痛いものや怖いものを美化して、登場人物たちを輝かせるための見せ場のシーンでしかない。

自分の目で近くで見たことがないから、全く別世界に生きているから、だからそうやってただ笑っていられるんだ。


「マジで陽二かっけ~!!」

「BADBOYSだろ?今何巻までだっけ?」


これからはこんなくだらない会話を聞かなくて済むと思うと少しだけ心が楽になった。

教室の中から自分の私物を全てかばんに詰め込むと、誰にも声をかけることなく教室から出た。
本当に短い間だったけど、私の高校生生活はたった3カ月で終わった。

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