愛を、もう一度 【前編】

愛を、もう一度 /1990年





――1990年12月20日


大輔との関係が修復してから、大輔はもう私にチームのことを隠すことを止めた。ただ、私には極力関わらせないよう配慮してくれたから大輔と二人でいるときは大輔はただの大輔だった。

でも、その日は違った。


「かおり、お願い。今日だけ一緒に集会に来てほしいんだ」

『……どうして』


大輔と付き合って2度目の12月。
今まで一度だってそんなこと言わなかったのに、私には関わらせないでくれているって思っていたのに。今回だけだからといって大輔は引かなかった。

桜町のバイクショップの近くの倉庫。そこで大輔たちのチームが集会をやっているのは噂で知っていた。


「今日はOB会があるんだ…」

『…OB会?』


大輔はバイクの後ろに乗る私に今日が特別な日であることを教えてくれた。


「Emperorを創った人たち。チームの名前は何度か変わってるんだけど、Emperorが出来て20年が経つから」

『…20年…?』


ただの暴走族のチームが20年?
その歴史の深さに軽くめまいがしそうだった。


「さすがに初期の人たちは来ないけど、Emperorの規模を一気に大きくした世代の人たちが今日は集まるんだ」

『…へえ』

「こういうときは、トップは自分の女がいるなら連れて来なきゃいけない決まりがあるんだよ」

『…面倒くさい』

「あははっ、言うと思った!でも大丈夫。すぐ終わるから」

『…うん』


やがて倉庫の近くまで来ると、おびただしいほどのバイクがずらりと道路に並んであるのが見えた。
何かのお祭りかと思うくらい、全てのバイクのライトは点灯してあって、まともに目を開けていられない。

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