魔法ノ花Ⅰ【完】






それは、ある夏の日の出来事。



“出来事”と呼べるくらいの出来た話じゃないんだけどね。






とにかく、その日は朝から最悪だった。






そこは、花が香る部屋。



寝床のそばの窓からは、光が射し込む。





そして、そこはたくさんの音に包まれてた。




広場で遊ぶ子供たちの声とか、


部屋で慌ただしく往来する男の人の足音とか、





部屋の外で誰かと誰かが喧嘩をする声とか、ね。




いろいろ。







でも、それは私の耳に入ることはなかったんだ。




いや、訂正。



入ってきたことには入ってきた。


確かに入ってきたけど、それは私の耳をすり抜けていって。




音は零れ落ちてしまって。














本当にその日の朝は最悪だった。













―――特に、‘それ’を見てしまったときは。







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