魔法ノ花Ⅰ【完】

★1年Aクラスの1学期 /下弦の月





Side.M









「―――――悪かったって!もう出てくから!だから命だけは助けてくれよ!な?な!?」



ある住宅街の電灯の下で、焦って荒くなった声がした。



ソイツは肩を震わせてへたりと座り込み、俺たちを怪物でも見るような目で見上げてる。





まったく、声でけえよ。



キンジョメーワクだな。住民はもう寝静まってるのに。



「だってー水樹チャン。許してあげる?」


「俺に振ってんじゃねえよ」


「だってここまでズタボロにしたのはほぼ水樹チャンでしょーが」



クスクス。


雅也が笑った。



ま、否定はしない。



「手ごたえはなさすぎたけどな」




コイツ。


コイツ、スパイのクセに。




敵のスパイのくせに、弱すぎる。





まあ、どうせ向こうにとっても捨て駒だったんだろうけど。




どうせ、コイツは味方にも切り捨てられるんだろうけど。




「つか出てくって。当たり前やろそんなん」



湊がトレーナーのポケットに手を突っ込んで欠伸をした。




足で石を転がして、遊んでる。





カチカチ。


カチカチ、カチ。




音を出す。





「だから悪かったって!ホントに!ホントだってばこの通りだって!!」





………土下座かよ。




全身で恐怖を表しやがって。


俺たちがそんなに怖いか?



心配しなくても殺しはしねえよ。どうせおまえは‘捨て駒’なんだから。




向こうにとっても、俺たちにとっても。






ところどころ破けた制服。血も滲んでる。




あーあ、アスファルトの地面に額を擦り付けてまた血出しちゃってるし。



アスファルトが汚れるからやめろよ。






だいたい、謝って済むなら警察も俺たちもいらねえんだよ。




「どーする?ルイ」


「…………」




瑠依は塀に座って関心がなさそうに見ていた。足が長いから綺麗に見える。



それは月に照らされて、余計に。




チョッパチョップスを無言で舐める瑠依。今日はコーラ味か。




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