魔法ノ花Ⅰ【完】

★1年Aクラスの1学期 /彼女の右手




Side.M







「ほな、帰るか」


湊が病院の出口の方に足を向ける。




今日は忙しい1日だった。



できれば私も早く帰りたい。








と、その時だった。


「あーごめん。ちょうど水の国に用事があったの思い出した。後から帰るから今日は先帰ってて」



「え、セーラちゃん!?」


セーラちゃんが、病院の出口に走り出した。



病院は走っちゃいけないのよ!



「時間かかりそうだから待ってなくていいよ~」


「あ、セーラちゃん!」







い、行ってしまった。



もう、元気なんだから。




その元気、ここにいる患者さんに分けてあげればいいのよ。




もうセーラちゃんは見えなくなってしまった。





……と。



「ちょっとクー!走っちゃダメなんだよー!」


「遅いよムー!」




こっちにも元気の有り余った子どもたちがいた。



でもこっちは、



「あっ!」


勢いが余りすぎてこけてしまったけど。


痛そう。顔面から転んだわね。







「おい、大丈夫か」





そんななか、そう声をかけたのは、珍しく瑠依だった。



……本当珍しいわね。




わざわざ右手を差し出し、子どもをたたせてあげる瑠依。





男の子は、右手でその手を取って立ち上がり、「ありがとう」と言ってからまた走り出した。



あらあら、また転ぶわよ。



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