魔法ノ花Ⅱ【完】




――――長い針がちょうどⅥを指したとき、もう一度月を見上げた。



何も変わらない。






ように、見える。





「きたきた」



月を見ながら時計をしまう。あたしのポケットに入ってるものは、時計と、部屋の鍵だけ。


まあ、そんなことどうでもいいけど。






月は何も変わらないように見えて、実は違う。




月の、はじっこが、ちょっとだけ、ほんのちょこっとだけ。


欠けている。




目ではほとんど見えない。



だけど十分。







時は満ちた。



十分、条件は整った。








「よし、行くか」






あそこに行くのはいつぶりだろう。



アイツらは、変わってないだろうか。



そう簡単に変わってくれないからあたしが行くんだけど。







軽く助走をつけて走り出した。





屋上のフェンスに手をかけ、飛び越える。





下は闇と、点在する光。






その景色が緑の山に変わるのは一瞬だった。





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